研究概要

RESEARCH 受精に伴うエピジェネティック制御機構

(玉田洋介 助教:大学院生募集

受精は精子と卵が融合して、新しい細胞である受精卵を形成する劇的な変化の過程です。精子と卵のクロマチン修飾は異なっており、それらがどのように統合されるのかを玉田 助教は明らかにしたいと考えています。我々は以前にポリコーム抑制複合体2(PRC2)が1倍体世代で発現することで2倍体幹細胞形成を抑制しており、受精すると受精卵でPRC2タンパク質が消失し、2倍体幹細胞が形成されることを発見しました(Okano et al. 2009 PNAS)。どうしてPRC2は受精後消失するのでしょうか。さらに、受精時に、何が刺激となって、精子と卵由来のゲノムのクロマチン修飾状態がどのように変化するのでしょうか。植物の受精過程のライブ観察は極めて難しいのですが、ヒメツリガネゴケは造卵器が数層の細胞で被われているだけなので、補償光学技術を共焦点や2光子レーザー顕微鏡に導入すれば、観察が可能になるかもしれません。また、単細胞トランスクリプトームも有益な情報を提供するはずです。イメージングとオミクスの両方の手法を用いて受精という問題に挑戦する大学院生を求めています。

Okano, Y., Aono, N., Hiwatashi, Y., Murata, T., Nishiyama, T., Ishikawa, T., Kubo, M., and Hasebe, M. (2009). A polycomb repressive complex 2 gene regulates apogamy and gives evolutionary insights into early land plant evolution. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106: 16321-16326.